2月例会『リベンジ授業』報告

【リベンジ授業V 国語『走れメロス』】講師:Tさん(中学教員国語科)会場:聴言センター地域交流室 参加7人
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 3回目を迎えるリベンジ授業,今回は初めて現代文の教材が取り上げられました。太宰治(1909〜1948)の『走れメロス』を読んだことのある人は多いと思いますが,中学・高校の頃に読むと,単なる友情物語と読んでしまうかもしれません。私もそうでした。
今回の授業の進め方は
1.黙読。ただし,本文中,変だと思うところを各自3カ所ずつ見つけること。
2.登場人物ごとに役割を決めて音読。途中で先ほど見つけた変なところを発表し,それについて意見を述べ合う。適宜,先生の解説がある。
 こんな風に細かく読むと(変なところを見つけるという課題が絶妙でした),この物語の登場人物に対する違和感が感じられたり,太宰の作品群の中で異質だと思われるこの作品がやはり太宰作品だと感じられる点(自己意識の強さ)が浮かび上がったりして,深く作品を味わうことができたのでした。音読ではもちろん吃ることもあったけれど,台詞以外の部分を読んでいただいた講師の先生の音読に乗っかる形で気分良く読むことができました。
授業のねらいであった『子どもには読めない大人の読み方』に少しは迫れたかなと思いました。それにしても,太宰は何でこんな小説を書いたのでしょうか。謎です。また中学生に(中2の教科書に載っているそうです)どう読ませようというのでしょうか。謎は深まるばかりです。
<参加者の感想>
・良いリベンジができた。学校時代は音読のことばかり気になって深く読むことができなかったが,今日は内容を深く味わえた。
・学校の時も音読で(言葉が出ずに)他の人を待たせたなと思い出した。
・今日みたいな読み方をすることで,今までと違った感じ方ができた。
・楽しい授業だった。教材をすべて(良いモノと)肯定的に読むだけでなく,おかしなところを探して読むことで,作者像に迫れた気がする。
・今までは一読して終わりで,細部にこだわる読み方はしていなかったが,今日みたいに読むとおもしろかった。
・国語が嫌だったが,今日のように読み直すと楽しかった。
・国語の時間にどんな教材を学んだかも忘れていたが,楽しかった。例会などで普段は吃らない人も音読で吃るんだと気づいたのも発見だった。

<講師の感想>
 前日まで教材の選択に迷いました。もう一つの候補はヘルマン・ヘッセ『「少年の日の思い出」』です。いずれも,小学校の国語教科書の小説とは違って,単純な○×の結末ではなく,読後,何が正しくて何が正しくないのかを考えさせるような教材です。今日の授業では,先生役の私は何もしていません。授業は生徒が作ると言われるが,その通りの授業になりました。中学生相手では話せないことまで話すことができました。

<例会担当者の感想>
この例会も3回目となり,参加者を熟知した講師の先生の巧みなリードで,参加者の自発性が良く出たように思います。音読では苦労した人もありましたが,作品や作者について活発な話し合いができてよかったと思います。それにしても『暴君ディオニス』役のNさんの読みは抜群だったと思います。
by ひろりん at 2011/02/27 | コメント(0) | 活動案内:例会案内
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